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◇土肥けんすけ 駄々漏れ追記◇     

◎∈∞∋漫画描きの土肥けんすけの雑記やエッセイ∈∞∋◎

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短編小説『抜け殻』 第7回(全8回)
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不思議なもので。

核もなく、ただただ円を描いて廻るのは抵抗があったとしても
中心があれば、そういうのに不自然さを感じない場合もある。

廻る際に中心がなければどうしても外側を見ることになる。
トースターがテーブルの隅の目立つところ・・あるいは
好きな色合いで置いてあれば―、好きな曲線の感じでもいい。
好きな曲線というのはある。
―あれば、一回転するたびにそれを意識して見ることになる
だろう。

消えて名を忘れ、出て名を思い出し、それの数を重ね数える・・。
そんな風に、トースターが数を重ねていくうちに
僕の好きな曲線のトースターが10も20もあるわけがない
と、いずれ人は気づく。

対して。
視界の中心に同じものがあり続ければ、脳は必ずしも移動の
否定とは取らない。
トースターは視界に入り続ける。それは確かに直線移動なら
そんなに長くトースターが視界に入ることはありえないが、見え
隠れしないために認識の回数更新は行われず、ために現れる
度の名づけも行われない。
つまり、不自然さを考えるきっかけが刻々と失われるということ。
一つは一つなのだ。

とはいえ、移動の否定ではないが肯定でもなかったりもする。
いつまでも同じ直線が見えている高速道路で、わざとカーブに
変化をつけて「移動しているのだ」と思い出させるのには、
ボーッとすることによる事故を防ぐという意味がある。
その意味で、厳密には移動の肯定と見るよりも現実との乖離に
よる認識力の低下と考えた方が妥当なのだろう。

気がつけば。ゆっくりと。
坂口も、僕の後を追うように布団の周りを追って歩き始めていた。
僕が横でグルグル廻ってるのは大変鬱陶しいだろうから、
なんとなくそうなったのだろう・・と思った。
おい―
と言いかけるが、目を合わせた途端に坂口は首を振った。
それを僕は―「言うな」と受け止めた。

何を?何を言ってはならない?

この流れで言ってしまっては、出来なくなることがある。
そういうこと・・そういうこと?

考え付いて思考がこね回され、まとまってしまうのが早すぎると、
それはどこかの段階で分かった上でやっていることになり・・・
後々問題だ。いや、本来はここまで考え付いてしまうのもまずい
のかもしれないが、自分でもどう問題なのかの思考の塊が出来て
いない以上、深く追及されはしないだろう。

誰から・・だ?
いや、なんにしても考えずに。

考えずに・・・・。
狭い道幅の信号で、他の人が信号無視してトカトカ渡ると、さて
自分はと悩む。
正しさとカッコつけと。小学生とか横にいると、尚更。
あるよな、そういうこと。

と。
どうでもよい事を口に出して、布団の周りを廻ることにした。
どこから口にしていたのか。
頭蓋を揺らした、自分の声帯によるくぐもった音の短期記憶も
実に怪しい。これでいい。そんなことを考えていれば、それ以外の
ことに関して思考が深まらない。

そういうこちらに対して、すぐに察したのだろう坂口も無意味で
適当な、へろ球を投げ返す。そして僕も。
「コンビニ弁当は、コロッケがカスカスなんや。ばすばすする。」
『全国』の天気予報って、世界全部のことだと子供の頃思ってた。
・・いや、ほんとは数年前まで。
「1000円食べると割引券出すファミレスで、せっかくだから1000円
以上食べても、実は有効になる五回分は貯まらず期間終わる」

おまえ、食べ物のことばかりだなぁ。
「あっおまえ。・・・ああ、早い」
え?
「後一つネタ振りしてからでないと、食べ物に対するこだわり
ネタとしては成立してへん」
そういうものか。
「認めるんや。駄洒落は堕ちたる天使の芸術や」
そ、そう・・。

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